下肢静脈瘤はどのようにして起こり、その原因は何かについて説明します。

血管には、心臓から新鮮な血液を体内に送る動脈と働きが終わった血液を心臓に戻す静脈があります。静脈には動脈とは違って、静脈弁と呼ばれる弁があります。動脈中の血液は心臓のポンプ作用によって動脈の末端まで運ばれますが、静脈中の血液は筋肉の収縮や静脈弁の働きによって、逆流をしないで心臓へ戻って行きます。
下肢静脈瘤とは、下肢の静脈弁の働きが不十分になるために血液の流れが悪くなったり、逆流して血管が瘤のように大きくなる病気です。このトラブルは静脈の径が拡大して弁が完全に閉まらず隙間ができる場合や弁そのものが壊れる場合などに起こります。
下肢の静脈には筋肉の中などの深いところを流れている深部静脈と、皮下の浅いところを流れている静脈があります。皮下の浅いところを流れている静脈は皮膚や皮下の血液を集め、深部静脈に運ばれます。これらの静脈弁がきっちりと閉まらないと血液が逆流して、足のだるさ、夜間のこぶら返り、起きたり、さらにひどくなるとうっ血のため足が腫れてきます。日本人の二人に一人が大なり小なりのこの症状を持っており、特に女性に多いことで知られています。
下肢静脈瘤は加齢が直接的な原因となりますが、長時間の立ち仕事に従事している方、美容師、看護師、教師、キャビンアテンダント、販売員などに多い傾向があります。立ち続けていると、静脈の血液の流れに逆らうような重力による負担が常に静脈弁にかかりますので長時間の立ち仕事は静脈弁の劣化の一因となります。静脈弁が劣化すると、徐々に働きが鈍くなったり、血管が拡張したりして弁が正常に働かなくなります。バランスのとれた食事や適度の運動、長時間の立ち仕事を避け、適度の休憩を取るなどの予防策をとることが必要です。
また、下肢静脈瘤になりやすい体質は遺伝することがわかっています。両親がこの病気にかかった場合約90%の割合で、片親がこの病気になった場合は約45%の割合でその子供に発症しているという調査結果もあります。どの遺伝子がこの病気を起こすのかまでは現時点でまだ解明がされていません。
妊婦や肥満気味の方はこの病気を発症するリスクがさらに高まる傾向があります。妊娠や肥満によってお腹の静脈が圧迫された状態になると下肢静脈も圧迫され静脈瘤を誘発する恐れもあります。
静脈瘤は命にかかわるような病気ではありませんが、ほっておくと最悪の場合は皮膚に潰瘍ができます。おかしいと感じた時は一度専門医に相談することが大切です。